こんにちは!ボーダレスハウスのブログ担当のYuyaです。
今日はボーダレスハウスに修学旅行に来た高校生たちのお話です。
実は今回の修学旅行ツアーは「社会の無関心の打破」を理念に掲げ、高校生や社会人に向けてスタディツアーなどの様々な事業をしている一般社団法人リディラバさんとのコラボで実現しました。
今回は広島と長崎の高校から30名ずつボーダレスハウスに来てくれて、二回に分けてスタディツアーを行いました!
今回はその二回のうち、長崎の高校の様子をレポートします。
ボーダレスハウスが修学旅行先に!?~多文化共生について高校生と考えてみた~
え?シェアハウスなのに社会課題の体験?と思われた方もいるかも知れません。
ボーダレスハウスは「世界中から集まった若者が一つ屋根の下で一緒に暮らしながら異文化に触れ合う、国際交流シェアハウス」を運営しています。
そして私たちがシェアハウス運営の先に目指すのは、「人種や国籍関係なく、
お互いのバックグラウンドを認め合える多文化共生社会」です。
「多文化共生社会について、シェアハウスでスタディツアーにトライしてみませんか?」
というお声をいただき、これから在留外国人や訪日外国人が増えていくことが予想される日本に羽ばたく高校生の皆さんに少しでも外国人の方々との共生社会を思い浮かべてもらい、外国人入居者さんと触れ合う機会をぜひボーダレスハウスで提供できればと思い、今回のコラボが実現しました。
ツアーは全部で2時間。
その中で、まずは「日本における多文化共生社会」をテーマに外国人入居者さんと交流していただきながらワークショップやディスカッションを行いました。
まずは物件見学!初めて訪れるシェアハウス!
ほとんどが実家暮らしの高校生にとってシェアハウスは未知の存在。
某シェアハウス番組で見たことはあるものの実際にどんな作りになっているのか分からない…
ということでまずはシェアハウス見学を行いました!
ボーダレスハウスの物件では交流が自然と生まれるように設計をしています。
例えば今回会場となった方南町シェアハウスでは帰宅した時に必ずリビングを通る作りになっており、自然と「おかえり」や「ただいま」などのあいさつが生まれます。
そうして交流が当たり前にある日常を作り出すことで、入居者さんの交流が活性化し、外国籍の入居者さんと日本国籍の入居者さんの垣根がなくなっていくことこそが多文化共生の仕掛けです。
そんな建物のつくりを説明しながらシェアハウス探検をしていると高校生の皆さんから「住んでみたい!」との声が!
ぜひぜひ東京や関西に進学した際はボーダレスハウスへご入居ください!
お待ちしておりますよ~!!
無人島にあなたは何を持っていく?ワークショップで国際交流!
シェアハウスの見学に続いてワークショップに移ります。
このスタディツアーは事前にいくつか高校生の皆さんに課題をお願いしておりました。
その一つは自分と外国人の接点を書き出してもらうこと。
皆さんの回答はお店やコンビニの店員さん、留学生、ELTの先生に観光客の人などなど。
実は意識してみれば外国人の方は日常のなかにたくさんいるのです。
しかし、「皆さんは外国人の方と日常的にお話することはありますか?」という問いにはほとんどの人が会話することはあまりないという回答を。
そもそも会話の接点がないことや、言語の問題もありますが、やはり突き詰めてみるとその根底には「言葉が通じないかもしれない、考えが違うかもしれない」からなんとなく怖いという理由もありました。
では本当に生まれた国で考え方ってそんなに差があるものなのでしょうか?
言語が通じないと意思疎通は計れないのでしょうか?
接点がないから余計わからない。なら接点を作ろうということボーダレスハウスに実際に住んでいる外国籍の入居者さんとワークショップをしてもらいました。
ワークショップのテーマは簡単。
「無人島に3つだけアイテムを持っていくとしたら何を持っていくか」を話し合って、みんなで3つのアイテムを決めるというもの。
入居者さんはたまたま来日したばかりの方が多く、ほとんどの人が英語もしくはそれ以外の言語話者。
皆さん最初はアイテムを説明するのにどうしようどうしようと慌てていましたが、身振り手振りや、知ってる英単語、イラストで一生懸命会話を進めます。
入居者さんもそんな一生懸命の高校生の皆さんを理解しようと、知ってる日本語や簡単な英語で思いを伝えます。
最初は距離感があった入居者さんと高校生の皆さん。
ワークが終わったころにはとっても仲良しになりました。
「アイテムを伝えたり、皆で意見を合わせるのはすごく大変だったけど、入居者さん面白いしいい人だったので、もっとお話したいと思えました。」
と高校生の皆さんからうれしい声が聞こえてきました。
増えていく外国人のご近所さん、お互いにもっとよく知りませんか?
2018年度の統計では、日本には3100万人以上の訪日外国人の方が訪れており、今年2020年にはオリンピックも重なり、4000万人に増えると予想されています。
また在留外国人(日本に住んでいる外国人)は263万人おり、日本の全人口の約50人に1人は外国籍の方だという数になります。
そして少子高齢化社会で主に介護や医療現場に人が足りず、働き手の外国人労働者の受け入れを近い将来3万人から145万人に拡大する見込みです。
私たちが意識する以上に日本には外国人がおり、関わりをもつことは必然となってきます。
しかし、いまだに言語面や文化面での行政サポートは整っておらず、日本は依然として外国人にとって住みにくい国です。
また人々の日常の中でも、外国人の方と交流し、お互いのことを知って友達れるような接点はそう多くありません。
同じ国にせっかくいるのに、言語や文化の違いでお互いに壁を作ってしまうのはもったいない。
遠い国の人ではなく、彼らも私たちのご近所さん。
だったら自分たちの町を、国を自分たちでより豊かに一緒につくっていきたい。
私たちボーダレスハウスは共生していくことが重要だと考えています。
言語の壁なんてない、大切なのは伝えたいという意志。
「電車で席に座ると、私の両サイドには誰も座りません。どれだけ電車が混んできても空席のままです。」
「お蕎麦屋さんやうどんやさんに行くと店員さんはお箸を下げてスプーンやフォークを出されます。」
「僕は日本語を少し話せるんだけど、僕が道を聞いたりしようと日本語で話しかけても申し訳なさそうに英語できないですすみませんと謝罪されて避けられてしまうことがあります。」
これは外国籍の入居者さんに日本にいて悲しいな、偏見だなと感じることはありますか?という質問に対して聞こえてきた声です。
「日本人はすごく優しくて親切だし、日本はとても面白くて住みやすい国だとおもう。日本に住んでいる僕たちは日本がとても好きで、もっと日本の人々と交流したいんだ。お箸の件もきっと日本人の優しさや気配りでやってくれていて気持ちはとても嬉しい。だからお話してほしいなあ、そしたらもっと分かり合えるのになあと感じるよ。」
ワークショップを通して日本に住む外国人の声を少しだけ聞けた高校生の皆さんはそのあと下記のような感想を届けてくれました。
私たちはお互いを避けよう、住み分けようと思って暮らしていることはほどんどありません。
少しの気恥ずかしさと、気遣いがいつのまにか日本人と外国人との間のコミュニケーションを少なくさせてしまっているのではないでしょうか。
このスタディツアーを通して、改めて私たちボーダレスハウスはもっと外国人と日本人の対話の場を作っていきたいと強く感じました。
ボーダレスハウスが伝えたい“多文化共生社会”とは
ボーダレスハウスのシェアハウス事業が始まった12年前。
その時はまだ日本に住む外国人が少なく、外国人が家を借りられない、社会保障を受けられない。医療現場で通訳を入れてもらえないなど様々な問題が取り巻いておりました。
さらに人々の外国人への意識も宗教や文化が違う、言語が違うという理由でステレオタイプの外国人イメージを持つ日本人のほうが多かったのではないでしょうか。
そんな社会を変えたくて、日本人と外国人の間にある壁を取っ払いたくて、「まずはお互いを知ることから始めよう」と国際交流シェアハウスを運営してきました。
私たちが事業を始めた12年前から現在までの間に、少しずつ外国人の方が増え、
日本社会がグローバル化していき、社会はとても多様に変化してきました。
シェアハウス内でももちろん、文化や言語による衝突はあります。
しかし根気よくその人自身に向き合えばその衝突は問題ではなく、新しい価値感への出会いになります。
私たちがシェアハウスを運営していて自負していること、それは言語や文化は要素でしかなく、○○さんで向き合うことでそこにある壁は取っ払える。
そして共生することはそんなに難しいことではなく、お互いのバックグラウンドを尊重し合い、違いを楽しむことが大切であること。
それが多文化共生社会への道だと私たちは思っています。
ボーダレスハウスはこれからも多文化共生社会へトライしていきます!
ボーダレスハウスの考える多文化共生社会というテーマを少しだけ高校生の皆さまにお伝えできるスタディツアーになりました。
これをまた新しいトライとして、2020年度は全10回のリディラバさんとのスタディツアーを行う予定です!
そしてこのコラボを機に、ボーダレスハウスでは多文化共生・異文化理解、多様性についてこれからも発信していきたいと思っております。
国際交流シェアハウスから生まれる新しい多文化共生について、これからの日本で外国人と日本人が共に生きていくには?など出張授業や講演のご用命はこちらの窓口まで。
皆さんとお会いできることを、楽しみにしています!